2012年06月10日

【知道中国 744回】この場合、「無知の知」は成り立たない・・・断固として

<樋泉克夫愛知大学教授コラム>
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【知道中国 744回】                       一 ニ・
四・念八

    ――この場合、「無知の知」は成り立た ない・・・断固として

 上海で昆明行きの国内線に乗り換え手にした 『環球日報』(4月27日)で目に
付いた記事 は、「深度報道」欄の「日本勢力、再度の東南アジア進出に勢いづ
く 政治・経済・文化・教育の各方面からの滲透 侵略者の姿 を消すことに成
功」と題された評論記事だった。4人の「本報駐外記者」 が、3月21日に東京で
開催された日 本・メコン地域諸国首脳会議を中心に野田政権による最近の日本
の東南アジア外交を詳細に論じている。

  日本・メコン地域諸国首脳会議を指し「今次会議は日本による“第2次アジ
ア・マーシャル・プラン”だろうか。最近になっ て複雑微妙な情況を呈しつつあ
る東 南アジアにしばしばチラつく影、それが日本だ」と書き出された記事は、
「日本はメコン流域国家に過去には見られなかった 最大級の政府援助と債務免
除を高ら かに宣言したが、さらに自衛隊による在フィリピン米軍基地への長期
駐屯情報まで伝えられる」と続け、東京での会議で@ ミャンマー、ラオス、タ
イ、カンボジ ア、ヴェトナムの参加5カ国に対し高速鉄道事業 などを含む総事
業費2兆3千億円余を拠出、A 対ミャンマー円借款延滞債権のうちの3千億円余
放棄を決定――これを「札束外交」と呼び、「より注視すべきは、背後に見え隠
れする日本による東南アジアに対する政治と軍事の両面からの介入だ」と糾弾した。

 以下、朝日、毎日、日経、産経などの日本の各 紙やタイ英字紙のネーション
などの記事、さらに関係各国研究者の発言などを織り交ぜながら、以下のような
主張を展開す る。

 第一に過去、現在はもとより将来にわたっても 「日本は東南アジアへの意欲
を持続し、諦めることはない」とし、過去と現在の事例を紹介した後、その確た
る証拠として会 議が採択した「Tokyo Strategy for Mekong−Japan
Cooperation 2012」を挙げる。いわく、この文書は「朝鮮の衛星発射や朝鮮に
よる日本人拉致非難など、メコン流域とは関係のない文言までが盛り込まれてい
るが、これこそが日本の意図の明確な証拠であ る」。

  第二に日本は東南アジアが持つ資源と戦略的位置を欲しているだけでなく、
「日本のさらなる懸念は、東南アジアにおける中 国の“存在”」であり、「中国
と競 うため、最近になって日本は東南アジアへの投資を急増させている」。
「日本の対外援助は“政治大国戦略”の延長上にあ り、その援助は東南アジアを
友と看做 す立場からから発せられたものではなく、明確な戦略に基づき、被援
助国の防衛と外交政策に対するヒモ付きである」。

 第三に日本は東南アジアで新たなるイメージを 打ち出している。戦後数10年
の間、「日本は東南ア ジアに対し文化宣伝とソフト・パワーの輸出に意を注
ぎ、かつての侵略者のイメージを払拭することに成功した」。いまや日本は
「東南アジアで投資者であり同 時に国際社会における友人として迎えられてい
る」。だが、問題は鎧の下に隠された意図だ。たとえばカンボジアに対する援助
の 中には「人口調査や地理測量な どの項目があるが、将来的に軍事面で利用し
ないと誰が保証できるのだ」。このように日本の援助は東南アジアの将来を掌握
しよ うという意図から発せられてい る。

  同記事の意図的な誤解に不快感を抱きつつ思ったことは、やはり日本政府の
将来に渡る東南アジア外交の意図と方向性だ。こ のまま進めば、その当否はと
もかく も、いまやメコン流域を裏庭と看做し我が物顔に振る舞っている北京と
の摩擦は必死だろう。従来のままに北京の顔色を伺い ながらの成り行きと出任
せの外交が 続くなら、2兆3千億円余が産むはず の“果実”は、回りまわって北
京に掠め取られる危険性は大だ。日本政府にとっての急務は、北京との摩擦を覚
悟しての確固たる 「Strategy for Japan」の構築な野田。《QED》
posted by 親善大使 at 02:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 樋泉です。
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