2014年05月09日

エネルギー自給率「0.61%」台湾の原発問題  傳田 晴久

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1>> エネルギー自給率「0.61%」台湾の原発問題  傳田 晴久
2>> 志を果たして いつの日にか帰らん  藤倉 聡子(東海大学1年)
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1>> エネルギー自給率「0.61%」台湾の原発問題  傳田 晴久

 台湾では「核四」(第4原子力発電所)建設中止を求めて「公投」(公民投票)実施を求める動
きが活発です。誠に悩ましい問題ですので、この際よく考えてみようと思い立ち、いろいろな資料
に当たり、素人の考えで恐縮ですが、まとめてみました。

 誤解、曲解している点があろうかと思います。その節はご指摘いただきたいと思います。

 スペースの関係で、今回は「核四」の問題のみになりましたので、「公投」につきましては次回
にさせていただきます。

 よろしくお願いいたします。

                                       傳田 晴久

*傳田氏からお送りいただいた原題は「核四と公投(1)」でしたが、内容に沿って表題のように
 変更していることをお断りします。(本誌編集部)

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傳田晴久「核四と公投(1)」
【台湾通信(第84回):2014年5月8日】

◆はじめに

 「太陽花學運(ひまわり学生運動)」は世界中の賞賛を受けましたが、その大騒ぎが一段落した
と思う間もなく、今度は「核四」を巡る騒動で台湾は賑わいました。台湾の原発は現在第1発電所
〜第3発電所で合計6基が稼働中で、建設中が第4発電所の2基があります。この第4発電所を「核四」
と呼び、その建設中止を求めて学生や市民が座り込みやハンガーストライキを実施したり、さらに
「核四」の可否を「公投(公民投票)」で決めようとの要求が出されたりしています。

 原発の可否は大変難しい議論ですし、それを公投で決めようというのも大変難しい話です。今回
の台湾通信はこの「核四と公投」を巡って考えさせられたことをお伝えいたします。

◆台湾のエネルギー事情

 台湾の人口は約2,300万人。面積は36,000平方メートル(九州よりやや小さい)。2013年の国内
総生産(GDP)は4,892億ドル、1人当たりGDPは20,930ドルであり、2013年の経済成長率は
2.11%という。

 経済成長と共にエネルギー消費量の増加も著しく、年平均増加率は4.28%(1990年以降)である
が、エネルギー供給はエネルギー資源が乏しいためにほとんどを輸入に頼っており、2003年以降の
エネルギー輸入率は99%を超えている(エネルギー自給率は0.61%)。

 エネルギー資源別の供給量(石油換算)を2010年度の統計でみると、輸入は石油49%、石炭32%、
液化天然ガス9.9%、原子力8.3%、以上で99.39%、残りが国内生産エネルギーで、水力、液化天
然ガス、太陽熱、太陽光&風力、石油で合計して0.61%である。(経済部能源局のデータによる)
燃料別発電電力量を見ると、石炭が約50%、天然ガスが25%、原子力が17%、石油4%、水力3%、
残り1%が風力、太陽熱、バイオマス、廃棄物である。

 一方、電力消費を部門別にみると、工業部門53.8%、運送部門12.9%、サービス部門11.0%、住
宅部門10.7%、エネルギー部門7.0%、非エネルギー部門3.8%、農業部門0.8%である。

 要するに、経済成長とともにエネルギー消費量は年々増加しているにもかかわらず、台湾はエネ
ルギー資源に乏しく、そのほとんどを輸入に頼っているのである。

◆エネルギー政策

 台湾の原子力発電は、1978年12月に第1発電所の金山1号が運転開始、以降1985年5月までの8年
間に金山2号、第2発電所の国聖1、2号、第3発電所の馬鞍山1、2号が次々と運転開始し、現在6基の
原発が稼働している。

 台湾の総発電電力量に占める原発の割合は、1987年に約48%に達したが、人口密度の高い島国で
の原子力事故が懸念され、放射性廃棄物処理問題もあり、2002年10月、民進党政権は再生可能エネ
ルギーに力点を置くという「非核国家推進基本法案」を閣議承認し、2011年から2017年までに既存
の3基の原子炉を停止し、環境負荷の低いLNGと再生可能エネルギーに換えるという方針を打ち
立てた。

 しかし、2008年に国民党政権が誕生し、非核国家構想を見直し、エネルギー安定供給と低炭素社
会実現には原子力も一つの選択肢とするという見解を示した。しかし、日本の福島原発事故(2011
年3月)発生を受けて、台湾では原子力リスクに対する関心が一気に高まった。

 既存の6基の原発稼働終了時期は、金山1号が2018年、2号が2019年、国聖1号が2021年、2号が
2023年、馬鞍山1号が2024年、2号が2025年となっているが、その終了時期延長には慎重な態度が示
されている。第5原子力発電所以降の建設計画は撤回されている。

 建設中の第4原子力発電所(龍門1、2号機)の建設続行を巡って、工事中止を求める大衆運動が
行われていた。

◆「核四」建設中止要求

 陳水扁政権時代に原子力エネルギーを再生可能エネルギーに換えるという方針を立てたが、馬英
九政権になって、再び原子力エネルギーを容認する政策に変わった。ところが、福島の事故以降、
反核が一段と叫ばれるようになっている。日本からも反核を訴える人士が度々台湾を訪れている。

 先月(2014年4月)15日、元民進党主席の林義雄氏が反核を求めて「禁食」(ハンガーストライ
キ)実施を宣言しました。そして22日から義光教会で「禁食」に入りました。その間、民進党は
「核四公投特別条例」を提案したり、与野党の有力政治家がいろいろな活動を展開しました。

 馬英九総統は安全検査をまず実施し、その後で公投を行うと主張し、林義雄氏は核四建設停止、
公投の実施を立法院、行政院で決めよと主張してやみません。

 4月27日に原発停止を求める5万人集会が開かれました。この日、馬英九総統と国民党は核四の2
号機の工事停止を決定しました。

 4月30日、遂に林義雄氏は「禁食」停止を宣言しました。

◆「核四全面停工」で良いのか?

 日本でもそうであるが、台湾でも原子力エネルギーを廃した場合の代替エネルギーには「再生可
能エネルギー」(あるいは代替エネルギー、自然エネルギーとも)が挙げられている。

 台湾の場合、第1発電所の金山1号(出力64万kw)は2018年で終了、同2号(出力64万kw)は
その翌年、第2発電所の国聖1号(出力100万kw)の終了は2021年、同2号(出力100万kw)は
2023年で終了、第3発電所の馬鞍山1号(96万kw)は2024年、同2号(96万kw)は2025年に終了する
ことになっている。すなわち、あと10年で520万kwの原子力発電所の能力がなくなるのである。

 日本で2月に行われた東京都知事選挙において、元総理細川護煕氏が元総理小泉純一郎氏の支援
を受けて、「原発即ゼロ」を訴えて立候補したが、大差で敗れた。問題は彼らが主張した1)原発
即ゼロに対応する代替エネルギーは必ず知恵のある人がいい案を作ってくれる、2)核の処分場が
見つからないから原発即ゼロにすべき、ということであったが、雑誌「正論」平成26年4月号に北
海道大学大学院教授の奈良林直氏が徹底的にその主張を論駁している。

 「知恵のある人が云々」はどこかで聞いたような話、昔中国の?小平氏が、「釣魚島問題の解決
はもっと知恵のある次世代に託そう」と言ったとか、結局、海軍力増強の時間稼ぎに使われたので
はなかったか。

 奈良林教授は1)について、日本では1973年のオイルショックを受けて、産官学の大規模な「サ
ンシャイン計画」(4,400億円)、「ムーンライト計画」(1,400億円)、さらに1993年から
「ニューサンシャイン計画」(15,500億円)が行われ、新エネルギー、省エネルギー技術、環境対
策技術開発研究に巨額の資金が投入されたが、40年間にわたる壮大な研究開発を経ても、原子力や
火力発電以外の分野での基礎エネルギーとなる発電技術の開発が困難であることを示している、と
述べておられる。2)についても小泉氏らの主張に反論している。詳しくは「正論」をご覧いただ
きたい。

 この巨額の投資は無駄であったという評価ももちろんあるが、これだけの時間と金をかけても
「再生可能エネルギー」の開発は難しいとも言えるのではないか。

 今、台湾では「再生可能エネルギー」の開発はどのように行われているのだろうか。

◆おわりに

 台湾は日本の九州より少し狭い地域に現在6基の原発が稼働しており、その中の4基(第1、第2発
電所)は台北市の北30kmと離れていない位置にあり、第3発電所は高雄市の南80kmの位置にあ
る。問題の核四(第4発電所)は台北市の東40kmにある。

 いずれも大都市に近接した原発であり、日本の東日本大震災に伴う福島原発事故以来、神経質に
ならざるを得ないことは十分理解できるが、上にのべたように電力需給状況、特にエネルギー資源
のほとんどを輸入に頼っている事を考えると、代替エネルギーの実現可能性に疑問がある段階で、
即時原発廃止を決定するのは如何なものであろうか。

 核四の可否を公投で決めようという動きがありますが、これについては次号で検討したいと考え
ております。

 尚、台湾の電力需給状況、原発の実情については、一般財団法人高度情報科学技術研究機構(RIST)
の原子力百科事典ATOMICAなどを参考にいたしました。

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2>> 志を果たして いつの日にか帰らん  藤倉 聡子(東海大学1年)

 去る4月1日、高座日台交流の会(石川公弘会長)と台湾高座会(李雪峰会長)が合同で「ありが
とう台湾・がんばれ東日本慈善演奏会」を台湾の台中市中山堂で開催した。

 台中市内にある東海大学に留学中の藤倉聡子(ふじくら・さとこ)さんは、台中在住の喜早天海
氏(日本と台湾の懸け橋になる会世話人)の呼びかけでスタッフとしてお手伝いし、喜早氏の求め
に応じてこのチャリティー・コンサートの様子を伝えている。

 宮城県出身の藤倉さんは、東日本大震災の被災者でもある。ふるさとに思いを馳せつつつづられ
たレポートにホロリとさせられた。

 ちなみに、藤倉さんは昨日から始まった「第21回日本李登輝学校台湾研修団」でもスタッフとし
てお手伝いいただいており、後日、機関誌「日台共栄」6月号に研修団レポートを執筆の予定だ。

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志を果たして いつの日にか帰らん
【メルマガ「遥かなり台湾」:2014年5月8日】

 4月1日の夜に行われたチャリティーコンサートは、台中に住んでいる大学生、家庭主婦、定年退
職者など日台双方の人たちがボランティアや観客動員などに協力してくれてコンサートを陰で支え
てくれました。その中の一人で、現地の大学に留学している女子大生に当日の感想などをお願いし
たところ快く引き受けてくれました。本日はそれを皆さんに紹介したいと思います。

                  ◇  ◇  ◇

「ありがとう台湾」「がんばれ東日本」チャリティーコンサート

                            東海大学政治学部1年  藤倉 聡子

 2014年4月1日に台中の中山堂で素敵なチャリティーコンサートが開かれました。コンサートの
テーマとして2つのことがあります。それは「ありがとう台湾」「がんばれ東日本」です。

 前者は、昨年5月9日に神奈川県座間市で行われた「台湾高座会流日70周年歓迎大会」の剰余金を
使って、台湾の方に3年前に起きた大震災への支援に対する謝意を表したいということから始まっ
た企画です。

 後者は、前者の概要を台湾高座会に伝えたところ、趣旨には大賛成だが自分たちはそれを受ける
だけでなく、第二の故郷である日本にさらなる激励のメッセージを送りたいということで企画され
たものです。

 東日本大震災3周年に当たり、世界一の支援をしてくれた台湾に感謝の「ありがとう台湾」、東
日本の被災地にさらなる激励のエールを送る「がんばれ東日本」、この2つの実行委員会が主とな
り今回のコンサートが実現しました。

 私は当日、ボランティアのスタッフとして会場に入っていました。お客さんの層は実に幅広く、
子供連れの家族や大学生、また高座会のお年寄りの方などがいらっしゃっていました。コンサート
が目的で組まれた日本からのツアーもあり、会場はほぼ満席の状態での開演でした。

 プロローグとして、NHKで放送された動画が会場2つのスクリーンに映し出されました。それ
は被災者である高校生が現在の心境と将来への希望を話しているものでした。

 個人的な話となりますが、私は宮城県の仙台から留学しに来ました。私も3年前にあの大地震を
経験しましたので、このスピーチしている学生の気持ちが痛いほどわかりました。


 続いて、実行委員長の石川公弘さんのご挨拶があり、石川さんが私の気持ちを代弁して台湾の
方々に伝えてくださった気がしました。

 そして、プログラム3番目に「ふるさと」の曲がありました。私はこのとき、台湾で聞く日本の
童謡にとても感動しました。「忘れ難き故郷」「志を果たして いつの日にか帰らん」との歌詞が
ありますが、震災で被害を受けたふるさとを離れて異郷にいる今の自分とリンクして思わず涙しま
した。

 合唱団は、福島県南相馬市と周辺地区の中高生を中心に結成されたMJCアンサンブルの皆さん
だということで、どのような気持ちで歌っているのだろうと聴きながら思っていましたが、私と同
じく故郷に思いを寄せているのだと感じました。

 また、私は同じ大学の同級生2人を連れてきていたのですが、私が耐えられず涙を流す姿を見
て、そのうちの1人が「あなたの気持ち、分かっているよ」というような顔で頷いてくれて、とて
も温かい気持ちになりました。

 私は基本スタッフとして会場のサポート行っていたので、始めと終わりの演奏しか聞けませんで
した。

 しかし、一番最後に歌われた日本の復興支援ソング「花は咲く」を聞くことができたのは非常に
幸せなことでした。優雅なピアノの前奏から始まるこの曲が最後にそのやさしい歌詞と歌声で会場
を包み込んでくれました。私はこの一曲が終わった瞬間「ああ、この曲がこの先ずっと歌い継がれ
る限り、日本と台湾の関係は素晴らしいものであり続けるはずだ」、そう思いました。

 コンサートが閉幕し、お客さんが三々五々お帰りになっていくのをお見送りしたのですが、私の
挨拶に対して「ありがとうね」と返してくださった方たちの笑顔がとても素敵で印象に残っていま
す。

 このコンサートの模様は翌日NHKでも放送され、全国に日台の絆が今回また一段と強くなった
ということが報道されました。被災地の方々にもこの思いが少しでも届いていたら同じ被災者とし
てこれ以上の喜びはありません。

 私は今回、このコンサートをサポートできたことを心から嬉しく思います。「志を果たして い
つの日にか帰らん」、これから続く留学生活を実り豊かなものにし、いつの日にか故郷に微力なが
らも還元できるようにこれからも精一杯励んでいきます。

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・日本李登輝友の会設立総会(2002年12月15日)
・中嶋嶺雄先生講演録「台湾の将来と日本」(2003年6月1日)
・平成15年 日台共栄の夕べ(2003年11月30日)
・許世楷新駐日代表歓迎会(2004年7月18日)
・盧千恵先生講演録「私と世界人権宣言─深い日本との関わり」(2004年12月23日)
・許世楷先生講演録「台湾の現状と日台関係の展望」(2005年4月3日)
・2004年 李登輝前総統来日特集(2004年12月27日〜2005年1月2日)
・2007年 李登輝前総統来日特集「奥の細道」探訪の旅(2007年5月30日〜6月10日)
・許世楷駐日代表ご夫妻送別会(2008年6月1日)
・野口健先生講演録「台湾からの再出発」(2010年12月23日)
・渡部昇一先生講演録「集団的自衛権の確立と台湾」(2013年3月24日)

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