2012年02月22日

【知道中国 716回】地主の末裔は泪の裡に一生を送る

<樋泉克夫愛知大学教授コラム>
chido_chugoku_image.jpg 【知道中国 716回】 一ニ・二・念二

 ――地主の末裔は泪の裡に一生を送る             

 『最後的地主(上下)』(廖亦武 労改基金会 2008年)

 毛沢東の死後、共産党は過去に政治・思想犯と断罪した多くの人々の名誉回復を進め、内外に向けて“脱毛化”を印象づけるべく振る舞ってきた。だが土地改革で過酷な運命に晒される羽目に陥った「地主の場合は違う。地主は刑期満了で釈放された前科者のようだ」と、この本は冒頭に掲げる。「名誉回復など未来永劫にありえない。彼らが刻んだ歴史に手を触れることは許されない。彼らに抗弁の機会は与えられない。それゆえ辛くも生き残った地主は沈黙を守るしかなく、彼らの子孫もまた、そうすることを身につけてきた」と綴り、土地改革で人生を狂わされてしまった地主の家族が歩んだ過酷な人生を赤裸々に綴る。

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タグ:地主の運命
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2012年02月20日

【知道中国 715回】木を見て森を見ず・・・ということでしょうね

<樋泉克夫愛知大学教授コラム>
chido_chugoku_image.jpg 【知道中国 715回】 一ニ・二・二〇

 ――木を見て森を見ず・・・ということでしょうね

 『中国返還後の香港』(倉田徹 名古屋大学出版会 2009年)


 返還から15年目に当たる今年3月、北京が香港の経済・教育・宗教界などから指名した1200人で構成された「広範な代表性を備えた選挙委員会」によって、中華人民共和国特別行政区政府トップの長官選挙が行われる。97年の返還前後には異常なまでの盛り上がりをみせた日本メディアの香港報道だったが、3月の選挙で北京の香港支配がほぼ“定式化”されるというのに、行政長官選挙への関心は余りにも低いように見受けられる。
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タグ:香港
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2012年02月16日

【知道中国 714回】万事が強欲で残酷、冷血非情で因果は廻る

<樋泉克夫愛知大学教授コラム>
chido_chugoku_image.jpg 【知道中国 714回】  一ニ・二・仲六

 ――万事が強欲で残酷、冷血非情で因果は廻る              

 『開国大土改』(白希 中共党史出版社 2009年)

 1950年から53年にかけて中国全土で展開された土地改革運動、鎮圧反革命(反対勢力軍事制圧)運動、抗美援朝(朝鮮戦争支援)運動を「開国三大運動」と総称する。

 建国したとはいえ、農地を押さえて農民に対する生殺与奪の権限を持つ地主は依然として農村で権力を握っている一方、国民党残存勢力をはじめとする反共産党勢力は各地に蟠踞し抵抗を繰り返す。朝鮮戦争参戦は人的にも財政的にも発足間もない政権の体力を容赦なく奪い去る。運動の結果次第では、未だ政権基盤の脆弱な中華人民共和国は崩壊しかねない。苦境の中で、毛沢東政権は開国三大運動に命運を賭ける。勇ましくも国民を鼓舞するが、伸るか反るか。政権にとっては背水の陣。内実は絶対必死の大博打ではなかったか。

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2012年02月14日

【知道中国 713回】波乱万丈、驚愕至極、生々流転、有為転変

<樋泉克夫愛知大学教授コラム>
chido_chugoku_image.jpg 【知道中国 713回】 一二・ニ・仲四

 ――波乱万丈、驚愕至極、生々流転、有為転変

 『革命中国からの逃走』(S・マンジョ つげ書房新社 2011年)


 「ロプサンを知ることは、それ自体が、ちょっとした冒険だった。一九六三年、ヒマラヤの王国ブータンで、ひとりの背の高い快活な人物を指さして、その男が、共産中国によるチベット制圧とダライ・ラマのラサ脱出の後、チベットから逃れてきた中国人技師だとわたしに教えてくれた者がいた」ことがキッカケで、著者はロプサンの紆余曲折の人生に興味を持ち、この本を書き上げる。英語原書名は『The Adventures of A Manchurian The story of Lobsang Thondup』。じつはロプサンは中国人ではなく満州人だった。

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2012年02月12日

【知道中国 712回】諸行勘定、万事金銭、終始一貫、アッケラカン・・・負けます

<樋泉克夫愛知大学教授コラム>
chido_chugoku_image.jpg 【知道中国 712回】 一ニ・二・仲二

 ――諸行勘定、万事金銭、終始一貫、アッケラカン・・・負けます

 『拝祀衣紙札作与香港民間風俗』(巫美梅 劉鋭宏 中華文教交流服務中心 2011年)

人はオギャーと生まれたからには早い遅の違いはあるが、100%の確率であの世に旅立つ。そんなことは判っていても、日々の生活のなかで露ほども考えない。考えようにも具体的なイメージが一向に湧いてこない。それもそのはず。日常身の回りから「死」を極度に排除している現代の日本では、死の向こうに在るはずのあの世に考えが及ばない。そこで参考に、中国人が考えるあの世をみておこう。中国版あの世の初歩的考察、である。

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2012年02月10日

【知道中国 711回】捏造偽造、放言愚弄、迷惑千万、断固排撃

<樋泉克夫愛知大学教授コラム>
chido_chugoku_image.jpg 【知道中国 711回】  一ニ・二・十

 ――捏造偽造、放言愚弄、迷惑千万、断固排撃

 『中共歴史謊言』(利明編著 香港文化芸術出版社 2005年)

毛沢東革命の原点と賞賛される湖南農民運動の“真相”を抉る「謊言の一:湖南農民運動は素晴らしい!」から、自画自賛ともいえる『江沢民伝』出版の内幕を暴露した「謊言の二十九:江沢民が中国を改造した」まで、虚飾と虚言に満ちた共産党史に隠された29のウソを解き明かそうとする試みだが、「謊言の十三:『二・二八』事件は『人民起義』であり『愛国主義闘争』である」の一項だけは、スンナリとは納得できそうにない。

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2012年02月08日

【知道中国 710回】為金銭服務、自利更昇・・・万々歳

<樋泉克夫愛知大学教授コラム>
chido_chugoku_image.jpg 【知道中国 710回】 一ニ・二・初八

 ――為金銭服務、自利更昇・・・万々歳

 『天安門落書』(串田久治 講談社現代新書 1990年)

著者は「一九八七年の九月から、一九八九年六月六日着の身着のままの帰国までの約二年間、中国古代・中世思想史を研究する目的で北京にいた。その二年間、私は書物から得るものよりも、むしろ生活を通して中国を知ることの方が多かった。(中略)ことに一九八九年四月以降の民主化運動は、私には得難い体験であった」と説き、天安門事件に繋がる「民主化運動の高揚した二ヵ月に見聞きした中国人の言葉に対するセンスに感服し」た。

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タグ:落書
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2012年01月29日

【知道中国 709回】全民啼餓号寒、5500万人死於飢餓!

<樋泉克夫愛知大学教授コラム>
chido_chugoku_image.jpg 【知道中国 709回】  一ニ・一・念九

 ――全民啼餓号寒、5500万人死於飢餓!

 『大躍進・苦日子 上書集』(余習広主編 時代潮流出版 2005年)

 この本は「中国大陸は、1957年末から62年年末まで、人類の良識では受け入れ難い、人類史上このうえないほどに恥ずべき時代だった」と説き、毛沢東が強行し、当時の共産党幹部の多くが唯々諾々と追随した大躍進がもたらした惨状を、明らかにしようとする。

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2012年01月27日

【知道中国 708回】権力の厚化粧、猫なで声の悪魔の囁き・・・

<樋泉克夫愛知大学教授コラム>
chido_chugoku_image.jpg 【知道中国 708回】  一ニ・一・念七

 ――権力の厚化粧、猫なで声の悪魔の囁き・・・

 『Chinese Posters』(秋山孝 朝日新聞出版 2008年)

 建国以来、共産党政権は自らが掲げる政策を人民に判り易く周知徹底させるため、京劇や地方劇、相声(おわらい)や説書(かたりもの)などの大衆芸能を巧妙に使った。今でいうソフト・パワーである。イラストレーション・ポスターも、そうした政治的仕掛けの1つだ。この本に収められた建国直後から08年の四川地震支援を呼び掛けるポスターまでを眺めていると、共産党政権が人民にどんな振る舞いを求め、何処に導こうとしていたのかが判然としてくる。その意味で言うなら、国際的に評価の高いポスター・デザイナーで多摩美術大学教授の著者が引用している中国人女性作家の「一枚の絵は千の言葉より多くを語る。その言葉に耳をかたむけようではないか」という呟きは、確かに頷ける。

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