2011年11月10日

塚本先生11月上旬世評「昭和恐慌を救った高橋是清」

 掲載が遅くなり恐縮致します。
 元民社党委員長塚本三郎先生11月上旬世評です。
なお、HPでは、PDFファイルがダウンロードできます。
http://www.ritouki-aichi.com/
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昭和恐慌を救った高橋是清  平成二十三年十一月上旬  塚本三郎

惨烈をきわめた東日本大震災の復興財源として野田政権は、大幅な増税を実施しようとしている。勿論、借金を後世の若者に付け送りすることは避けたいとの弁明である。

併しこれはいかにも下策であり、財務省の言い分そのままだと思う。日本の経済状況を省みれば、絶対にやるべき施策ではない。

一九九〇年代初頭の平成不況以降、リーマン・ブラザーズ破綻などを契機とした、百年に一度の大不況に苦しめられ続けているのが日本経済である。

国際的な金融混乱や、世界不況の影響を受けたとはいえ、日本政府が、かくも延々と不況、停滞を続けて来たのは、わが国政府が、ケインズ的な、マクロ的有効需要管理政策の実施を怠り続けて来たという「人災」によって生じた事態である。

わが国は、マクロ的デフレ・ギャップ(完全雇用・完全操業)に近い創業度と比べれば、GDPで毎年四百兆円が空しく失われていくのである。

だからと言って復興財源の調達を国債の新規増発も、これまた下策である。

国債の市中消化は、民間資金の国庫への吸い上げを意味し、民間での「カネ詰まり」と市中金利の高騰を生じ、経済の不況・停滞を一層悪化させかねない。

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2011年10月17日

塚本先生10月下旬世評「今こそ大胆で粗野な政治を」

 元民社党委員長塚本三郎先生10月下旬世評です。
なお、HPでは、PDFファイルがダウンロードできます。
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今こそ大胆で粗野な政治を   平成二十三年十月下旬    塚本三郎

 政府は当面の施策、東日本の大震災や、東京電力福島原子力発電所の放射能対策に対して、有効な打つ手を失って、立ち往生していたのが現在までの状態ではないか。

 だが日本の在野には、智慧者は沢山居る。そして多くの参考となる提案が出されていた。

 例えば、東北三県の被害者のうち、会社や工場の流失によって職場を失った失業者が三十万人に至るとみる。――その人達に失業保険を給付するよりも、国家が責任を持って五年間、公務員として雇用し年四百万円を支給し、その人達を中心にして復興の作業に当たらせよ、との学者の説は一考に値する。勿論それを希望する人にのみ。
その間に自分の経験した仕事や希望する仕事を見つけ出せば良い。

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2011年10月16日

塚本先生10月上旬世評「人間力の凄さ」

遅い掲載、申し訳ありません。

元民社党委員長塚本三郎先生10月上旬世評
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人間力の凄さ       平成二十三年十月上旬   塚本三郎

習うことは慣れること

 自転車は、止まっていればすぐに横転する。走っていれば転ばない。走るには、運転する人間が、左、右に傾かないように、操縦しているからだ。

 その微妙な操縦を小学生になれば誰でも乗りきる。僅か一日の練習で大丈夫だ。

 人間の感覚、慣性は素晴らしい。

 自動車という文明の利器は、今日では人間の下駄代りとなり、日本の各家庭に普及した。一家ではなく、一人に一台の便利な足と代った。ただ土地代が高いから自動車の駐車場の癌となっている。私も車を運転して、既に半世紀を越えた。車内でニュースを聞きながらの運転である。それでも前方を見ていれば事故を起こさない。

ニュースは耳と心で聞き、眼は前方の信号と左右の道路の利用者、前方車の急停止、車線変更、追い越し車の暴走にも注意を払う。未知の道を避け無事に自宅へ戻る。

 私にとっての日々は、政局に気を使う。国政に青春を捧げた往時の夢が消えないからだろう。愛国者とか憂国の士を自負するつもりはない。されど人生の青春時代の習いが性となっているから、政府と野党の動静の記事を真っ先に眼を通す。

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2011年09月25日

塚本先生9月下旬世評「歴史の教訓」

元民社党委員長塚本三郎先生9月下旬世評
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歴史の教訓         平成二十三年九月下旬   塚本三郎

 日本が、この戦争に負けたなら、敵であるアメリカは、我々を奴隷として、当時の黒人と同様の扱いをするに違いない。戦時中、このように教育されて我々は育った。そして、生命を懸けて祖国防衛に必勝の戦争体制を整えた。それが我々の青年期であった。

 しかし、日本は敗れたが、アメリカの奴隷にはならなかった。否むしろ、負けたことが、かえって良かったと云うことも多く在った。おおげさに云えば、夢の如き時代とも思えた。

 大都会は焼野原と化し、日本は三百万人を超える戦争犠牲者の数を積み重ねた。しかし表面的には、幸運続きの敗戦後の日本であった。

 敗戦の結果、日本が民主政治となり、世界の中で自由に働くことの出来る、広々とした雄飛の活躍の舞台を与えられたことは、私ども青年にとって、何にもまして素晴らしい贈り物を得た思いであった。

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2011年09月03日

塚本先生9月上旬世評「円高や放射能が日本人の敵か」

元民社党委員長塚本三郎先生9月上旬世評
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円高や放射能が日本人の敵か  平成二十三年九月上旬   塚本三郎

 現在の日本は、不況による失業及び円高と、東日本大震災による未曾有の大災害の、二重苦に直面している。
第一は、経済不況と復興の為の増税論及び円高である。その結果、有力企業は海外へ逃避し、零細企業の倒産と失業者の増大は空前と云われる程である。
 第二は、東日本大震災の復興の遅れと、福島の原子力発電所損傷による始末と節電、放射能漏れによる、避難所生活の大騒動で、双方は共に民主党政権の無能が問題である。

不況と円高は乗り越えられる

 世界経済は、戦後から今日まで基軸通貨のドルを中心にアメリカが牽引車であった。
 だが、アメリカの浪費グセは止まることを知らず、たれ流した莫大なドルは全世界に信用を失い、対日評価では、一ドル七十円台に暴落したままである。
 日本が国際社会に伍した独立直後のドルは一ドル三百六十円であった。それが今日では五分の一の七十円台に下がってしまった。日本では円高と呼ぶが、世界ではこれをドル安と呼ぶ。アメリカの通貨であるドルの低下は、世界の株価の暴落を誘っている。

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2011年08月09日

時の勢いはすさまじい

元民社党委員長塚本三郎先生8月下旬世評
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時の勢いはすさまじい    平成二十三年八月下旬   塚本三郎

 大相撲が正常に戻った。名古屋場所は各力士の、全力を出し尽くし気迫の籠った闘いに終始した。日本人の誇り、大相撲が国技本来の姿に戻ったと信じたい。

 目立ったのは、常勝で八連覇新記録と目された白鵬が、優勝を逃しただけではなく、思いもよらぬ、終盤で三敗を喫した。あまりにも意外な成績に終ったことである。
突進した琴奨菊と、日馬富士が、横綱を下した時の迫力は見事であった。

 全力を挙げて大関を目指した琴奨菊の努力は、常勝の横綱白鵬を破る突破口となった、その時の気迫は見事であった。横綱を下したこの二力士の頑張りは、私共に大きな教訓を残した。とりわけ、大関の日馬富士の執念には学ぶべきものが多かった。

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震災復興と景気回復には

遅い掲載で恐縮します。(管理人)

元民社党委員長塚本三郎先生8月上旬世評
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震災復興と景気回復には    平成二十三年八月上旬   塚本三郎 

 退陣表明をした首相が、国政をわたくし視する「異常事態」の数々は、復興をめざす日本経済にとって最大の足かせになりつつある。
 首相は法令に基づかず、中部電力・浜岡原子力発電の停止を突然要請した。
 続いて全国の原発の再稼動に、法令以外の、ストレステストを課すると決め発表した。
 そして七月十三日「脱・原発依存」の記者会見までも行なった。
これは、戦後エネルギー政策の大転換であるが、あまりにも内容が空疎である。日本社会の在り方を、大きく左右するエネルギー政策転換の是非は、国民の意思を問うのが望ましい。しかし、レームダック(死に体)化した首相が、それをやるのには無理がある。

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2011年07月01日

塚本先生世評7月上旬「日本を壊す首相の居座り」

元民社党委員長塚本三郎先生7月上旬世評
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日本を壊す首相の居座り   平成二十三年七月上旬   塚本三郎

 六月二十二日をもって、平成二十二年度の通常国会は終わった。

 だが、東日本大震災及び福島原発の損傷に対する復興は遅々として進んでいないから、会期を延長し、法律の不備を補い、復興作業のテンポを一刻も早く進めなければならない。

 国会議員であるすべての人達に、その責任がある。

 想定外と呼ぶ程の大災害、大事件であるから、国家・国民の為には国会議員たる者、身命を投げ出して取り組むべきは当然である。

 だが国会は政争に明け暮れて、問題解決は遅々として進まない。その主たる原因は菅首相の存在である。民主党首脳も、菅首相の存在に困り果てている。

 首相は思い付きの施策を、充分に検討する段取りなくして、売名的発想を繰り返す悪いクセがある。また、部下の努力に対して、順調に作業が進めば己の功績と自慢し。失敗したり、遅々として成果が挙がらない場合は、その責任を、部下に押し付けることの繰り返しである。つまり、利己主義者そのものの言動とみえて仕方がない。

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タグ:菅直人

2011年06月12日

塚本先生世評6月下旬「三・一一の大震災を検証する」

元民社党委員長塚本三郎先生6月下旬世評
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三・一一の大震災を検証する  平成二十三年六月下旬     塚本三郎

学者ではない私が、原子力発電の問題を論ずることは素人としての意見である。

また、政界の第一線を退いて二十年近くなり、老いた私が現政権の対応を批判することも、犬の遠吠えでしかない。

それでも黙視することが出来ないから、遠吠えの小論を綴る次第である。

幸い、日本は情報の洪水と言われる程の、「真・偽取り混ぜての情報」にはこと欠かない。よって、大まかに、想定外の大震災の三ヶ月後を振り返って検証してみる。

一.初動の失政が致命傷を招いた

 中部電力の浜岡原子力発電所が、菅首相の思い付きの要請に因って、中断させられた。地震発生の想定は、三十年間のうちに、87%の可能性を示したからと云われる。

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タグ:大震災